組紐作家として活動しているHaRuKiさんにインタビューしました。
HaRuKiさんは「江戸 meets ROCK‼︎」をテーマにした着物ブランド「ルミロック」の広報として働きながら、組紐作家としても兼業されていて、着物や組紐を使ったお仕事の仕方について伺いました。
目次
着物をもっとカジュアルに
──着物の世界って年配の方が多い感じがして、HaRuKiさんが着ていらっしゃる着物はすごく個性的なんですけど「あっ、いまそういうのもあるんだ」「若者もこうやって楽しめるんだ」と感じました。
そうですね。「そうかまだ知られてないんだ」って感じです。
その世界に自分達がいるからこれが当たり前になってますけど、こういうブランドがあることをもっと知ってもらいたいですね。
──HaRuKiさんは普段も着物を着られるんですか?
着ますね。お洋服も大好きなんですけど、着物を着るとちょっと気合いが入るみたいなのはあります。ちょっと頑張っておしゃれしようみたいな。
──だからオシャレとして着物を楽しめるよっていうことですよね。
組紐作家とルミロック広報としての仕事
──いまHaRuKiさんが組紐作家としてどういうお仕事をやられているのか、簡単に教えていただけたらと思うんですけど。
今日、佳さんに着ていただいて、私も今日着てるんですけど、「江戸 meets ROCK‼︎」をテーマにした「ルミロック」という着物ブランドの広報ですね。SNSの更新とか、あとは販売スタッフもやってます。
組紐作家としては、お店に卸したりネットショップで販売をしてます。
──そもそも、組紐ってどんなものなんですか?
組紐は、帯を留めるために使う「帯締め」というものです。
帯に巻いて使ったり、帯に差して使うアクセサリーみたいなものもあります。
組紐作家として行ってきたこと
──HaRuKiさんが組紐に興味を持った経緯を聞いていきたいんですけど。
ルミロックの前に勤めていた会社で、お仕事をしながら着付け教室に通っていたんですよ。
美しく着れるようにっていう練習と、その後に次のステップとして人に着せるのもまた別の技術が必要なのでその練習をして。
着付け教室での勉強が一通り終わった時に、いまの自分に何ができるかなと思ったんですが、ミサンガってありますよね、刺しゅう糸で作るやつ。
小学生のときにあれを作るのが好きだったんですけど、組紐もミサンガに似ていて、組紐作り体験みたいな感じで先生のところに行ったらすごいハマっちゃって。
──僕もまさに組紐を見た時に「あ、組紐ってミサンガだ」と思いました。
そうですね、ミサンガって平たい感じですけど、組紐って丸みがあって。でも近いと思います。
──会社に入る前も服飾系の学校に通われてたんですよね。
文化服装学院っていう学校に通ってました。
学校に入学した時からもう着物の仕事したいって思ってたんですけど、相談できる人はいなかったですね。
先生たちはほとんど洋服関係の人たちなので、就職先などは紹介できないなっていう感じで。
──最初に組紐作家として始めた活動ってどういう感じですか?まず作品を作るってことが前提にあるとは思うんですけど。
趣味でやっていたことなので、販売するつもりは全然最初はなくて。
商品として販売を始めたのは「キモノ葉月」っていうアンティークとかリサイクルの着物を取り扱っているお店があるんですけど、そこの代田橋支店にアルバイトで1年間くらいいまして。
そこのスタッフのみんなに「私にも作ってよ」「販売用にも作ってもらえたら」って言ってもらって、お店にも置くようになったのがきっかけです。
その後、2021年11月に発売された「KIMONOanne. (キモノアン)」っていう雑誌の取材をしていただきました。まだ組紐作家としてデビューしますっていう前に見つけていただいたので、
値段も決めておらず、雑誌の発売に合わせて組紐の販売が間に合うようにしなきゃって感じでした。
──組紐を作る作業ってセンスとか必要なんですか?
そうですね、苦手な方もいるかもしれないですね。
ただ、センスよりも、ものすごく集中するので根気がいると思います。
──手先の器用さ以上に根気の方が必要になるんですね。
私はそっちの方が必要かなと思います。「飽きない?」ってよく聞かれたりします。
組紐作家の具体的な仕事の仕方
──組紐作家としての仕事について、具体的な流れについて伺いたいのですが。
まずは糸をたくさん買ってきて、何を組むか考えながらバーって並べるんですよね、色を全部。
高彩度な色が好きで、自分の好きな色を使うことが多いんですけど、それを組み合わせて作ってます。
だいたい7,8時間とかで組むものもあれば、3,4時間ぐらいで組み上がるものもあります。
いつ作業しても良いんですけど、夜中に組むことが多いですね。連絡が入っちゃったりすると気をとられたりするので。
ずっと集中してやりたいってなると夜中に作業することが多いです。
そうやって作った組紐はネットショップと、イベント出展などで販売してます。
ルミロックの出展のときに置かせていただくことが多くて、あと名古屋に「なごやキモノめるかーと」っていうイベントが年に2回あるんですけど、そこには個人で呼んでいただいて出展をしてます。
組紐作家で得られる収入
──組紐作家の仕事で生活していけるくらい十分なお金って稼げるものなんですか?
今はルミロックっていうブランドの販売スタッフや広報をしながら兼業で組紐作家をしているため、組紐作家だけの収入でしっかり生活っていうのは難しいかもしれないです。
いま組紐作家としてデビューして1年経ったぐらいですが、着実にちょっとずつ組紐作家の収入も増えていってはいます。
転機となった出来事
──HaRuKiさんにとって「これ転機だったな」っていうタイミングはありましたか?
ルミロックっていうブランドの仕事を始めた時ですかね。
それまでは正社員として働くことに安心を感じてたんですけど、正社員を辞めて個人として独立してやるっていうことに、ものすごい不安はあったので。
ちょうどコロナが流行った時だったので、本当にやっていけるのかなっていうのはあったんですけど、そこで振り切ってというか。
組紐作家のメリット
──組紐作家という仕事のメリットってどんなものだとお考えですか?
自分自身として生きれるところはメリットとして感じてます。
会社員時代は一般的な装いでなきゃいけないし、発信・発言も「社会人として」みたいな感じで制限があったんですけど、今はもう自分自身がどうあるかとかどう思うかっていうことを発信・発言できるので。
お客様にも仕事で関わる方にもそういった発信に共感してくださる方がいると思うと、すごくストレスがないというか。言わなくても伝わる感覚みたいなのがあるのはすごい生きてて楽ですね。
組紐作家として大事にしていること
──HaRuKiさんが仕事をやる上で大切にしていることやモットーはありますか?
思いを込めるってことですかね。
気分が落ち込む時って絶対あるじゃないですか、人だから。
その時に例えば、着物や帯締めを見て「あ、自分はこれ好きだったな」とか「なんか、これでテンション上がってたな」っていうことをまた思い出せるものになると思うんです。
自分を思い出せるものに出会ってほしい、みたいなのはありますね。
──こういう着物や組紐のような伝統文化っていうものを時代に沿ってリニューアルしていくとか、そういうことに関してはHaRuKiさんはどういう風に考えてますか?
着物も組紐も、歴史のあるものはそれはそれで素敵だなと思うんですけど、「私が着物業界を」とか革命を起こしたいみたいなことは全然思ってません。
自己表現の一つとして着物を着ていて、組紐作家っていう活動もまず自分ができることで何から表現しようかなの1個目だったので、伝統と自分の思いとかはまた別かなと思います。
──じゃあ、もう本当にフラットにファッションとして見てるっていうことですかね。
そうですね。イケてるから着てる、みたいな感じですね。
HaRuKiさんが今後やりたいこと
──HaRuKiさんが今後やっていきたいこと、目標・夢とかあれば聞いてみたいです。
組紐を帯を締めるためのものだけじゃなくて、お洋服でアクセサリー感覚で付けられるようなものを作っていきたいです。
組紐じゃないものも、私のデザインとかで商品にしてみたり、作品にしていきたいですね。
また、自分の好きなものを仕事にしていきたいっていう夢を持っている方に自信を持ってもらえるように、YouTubeやラジオとかメディアでも発信はしていきたいなと思ってます。
組紐作家の仕事の魅力とは
──それでは、最後の質問になるんですけど、HaRuKiさんが思う組紐作家のお仕事の魅力って何でしょうか?
やっぱり想いを届けられるってことですかね。
私おすすめってあんまりしないんですよ。お客様が手に取って決めてくださることが多いので。
手に取る方のお守りになればいいなみたいな感覚もちょっとあったりとかして。気持ちを持っていってもらうみたいな。そこがやっぱりやってて楽しいというか。
想いを込めて作ったものをお客さまが手に取ってくださるっていうのがうれしいところですね。